一目均衡表って聞いたことあるけど、実際の取引でどんな風に使うんだろう…?
一見すると複雑に見えますが、一目均衡表を構成する5本の線と雲の役割を理解してしまえば、他のテクニカル分析と同様に売買シグナルを見て取引を行うことのできる、シンプルなテクニカル指標です。
相場の状況を一目で判断でき、売買の均衡している価格帯をもとに投資戦略を立てられるため、日本で開発されてから多くの投資家に使われ続けています。
このページでは、一目均衡表の実践的な使い方をチャートに出現している売買シグナル、取引を行う際の注意点と共にご紹介しています。
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この記事で分かる!テクニカル分析のこと
一目均衡表(いちもくきんこうひょう)とは?雲と5本線の基本的な仕組み
一目均衡表とは、異なる計算方法で作られた5本の線と雲から相場のトレンド転換の時期を読み取り、売買タイミングの判断に役立つテクニカル分析です。
では、一目均衡表がどのような仕組みになっているのか?
基本的な仕組みを構成要素の役割と使い方と共にご紹介していきます。
一目均衡表とは?
一目均衡表は、細田悟一(ほそだ ごいち)氏によって作成された日本発のテクニカル分析方法で、為替や株の値動きを予測する分析として世界中の投資家に愛用されています。
一般的なテクニカル分析は、平均価格や過去の価格と現在の価格を比べて売買タイミングを計るものです。
しかし、一目均衡表は、他のテクニカル分析とは少し異なり、「時間」に注目して、異なる期間の価格をもとに算出した値を過去や未来にずらすことで、「トレンドの周期」を判断して価格の予想を行っています。
それぞれの線の意味は以下の通りになりますが、丸暗記する必要は無く、これらの線を利用して抵抗線・支持線とトレンドの転換を図るということを理解しておけば充分です。
基準線 | 過去26日間の高値と安値の平均値 |
---|---|
転換線 | 過去9日間の高値と安値の平均値 |
遅行スパン | 当日の終値を26日さかのぼった値 |
先行スパン1 | 基準線と転換線の中間地を26日先に記入したもの |
先行スパン2 | 52日間の高値と安値を26日先に記入したもの |
雲 | 先行スパンの間に発生し、抵抗の大きさを表している |
一目均衡表を構成する雲と5本線の役割
一目均衡表を構成する5本線には1本1本大事な役割があり、複数の線が同じトレンド方向を指し、売買シグナルが出現していれば単体で使用するよりも、精度の高い取引を行うことが出来ます。
ページ下部で紹介する三役好転・三役逆転など、一目均衡表の中で信頼度の高い売買シグナルも複数の線が反応していることが条件となっています。
5本線の詳しい特徴に関しては、一目均衡表とは?雲が分かりやすい日本発のテクニカル分析に1本ずつ分かりやすく紹介しているので参考にしてみて下さい。
一目均衡表(基準線・遅行スパン・転換線・雲)と売買シグナルの基本的な見方・使い方
一目均衡表を実際に使用して取引を行うには、基本的な使い方を理解しておかなければなりません。
ここでは、実際に一目均衡表を使用して取引を行う時に必須となる基本的な見方・使い方を分かりやすく解説しています。
一目均衡表の基準線・遅行スパン・転換線・雲の見方・使い方
一目均衡表は、先ほど紹介した線と雲がどんな状態かを見て、種類ごとの特徴から現在のトレンドを判断できます。
複数の線が同じトレンド方向を指し示していれば、自然とエントリーの根拠も強くなります。
取引する際に基本的に見るべき特徴は以下の通りです。
種類ごとの特徴 | |
---|---|
基準線 |
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転換線 |
|
遅行スパン |
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雲 |
|
転換線・基準線・遅行スパンの売買シグナルから解説する一目均衡表
「この売買シグナルが出現したら上昇・下落のサイン」と単純に述べられても、実際どの様に見れば良いかはイメージしにくいものです。
下図は売買シグナルから分析できるトレンド転換の様子を示したチャートになります。
※水色:遅行スパン、緑色:転換線、赤色:基準線
転換線は、基準線よりも上か下かでトレンド方向を把握しますが、名前の通りにトレンド転換のタイミングを計る際にも使用します。
転換線が基準線を上抜けるゴールデンクロスした場合には、上昇トレンドを示唆するために買いサイン、基準線を下抜けるデッドクロスした場合には、下降トレンドを示唆するために売りサインとなります。
なぜ、ゴールデンクロス・デッドクロスが出現するとトレンド転換になるのか?の根拠については、ゴールデンクロスとデッドクロスとは?に詳しくまとめてあるので参考にしてみて下さい。
また、ローソク足と遅行スパンがクロスしたときもトレンドの転換点となります。
遅行スパンは、現在の価格を26日前にずらして記入しているため、過去と現在の価格を比較します。
遅行スパンがローソク足を上抜けた(下抜けた)場合には、現在の株価が過去の株価よりも上昇しているということになるため、上昇トレンドとなります。
三役好転・三役逆転とは?一目均衡表の実践的な使い方
一目均衡表は、5本の線と雲からトレンドの方向と強さを測ることが出来ます。
それでは、一目均衡表の仕組みと役割、基本的な使い方が理解できたところで、売買タイミングを計ることに役立つ実践的な使い方をチャートを読み解きながら見ていきましょう。
【一目均衡表の見方・使い方】三役好転・三役逆転(さんやくこうてん・さんやくぎゃくてん)
※水色:遅行スパン、緑色:転換線、赤色:基準線
一目均衡表には、3つの条件が揃った場合に現れる「三役好転・三役逆転」と呼ばれる強い売買シグナルがあります。
三役好転は上昇トレンド、三役逆転は下降トレンドを示唆していて、判断基準となる3つの条件は以下の通りになります。
- 三役好転
-
- 転換線が基準線を上抜けている状態
- 遅行スパンがローソク足の上にある状態
- ローソク足が雲を上抜けている状態
- 三役逆転
-
- 転換線が基準線を下抜けている状態
- 遅行スパンがローソク足の下にある状態
- ローソク足が雲を下抜ける状態
しかし、ぴったり3つの条件が揃うことは難しいため、2つ揃った状況で反転しても良い様に損切注文を入れてエントリーしてみることを考えておいても良いでしょう。
また、非常に強いシグナルですが必ずしもこの通りに相場が動くとは限りません。
特にもち合い相場での売買シグナル発生においては可能性が極めて低くなるので注意が必要です。
イグジットポイントとしては、三役好転・三役逆転の形が崩れたところで決済すると比較的安全に取引を行えるでしょう。
三役好転・三役逆転が発生すると中長期単位でトレンドが発生することがあるので、注目しておくべき強い売買シグナルの1つになります。
【一目均衡表の見方・使い方】遅行スパンが雲を抜ける売買シグナル
※水色:遅行スパン、緑色:転換線、赤色:基準線
先ほど、遅行スパンがローソク足を抜けたらトレンド発生のシグナルであると述べましたが、遅行スパンが雲を抜けた場合も同じ意味になります。
もち合い相場の時に遅行スパンが雲を抜けると、明確なトレンドの発生を意味する売買シグナルになります。
遅行スパンは株価の急騰・急落に対して反応が遅れることがありますが、一目均衡表を構成する5線の中でもダマシが少なく、大きなトレンドを示唆する売買シグナルのため、しっかりと売買シグナルを確認してからエントリーを行えば精度の向上に繋がるでしょう。
【一目均衡表の見方・使い方】転換線と基準線に注目した売買シグナル
※水色:遅行スパン、緑色:転換線、赤色:基準線
ローソク足が基準線を上抜け(下抜け)してくることは、トレンド転換を意味しています。
現在の価格であるローソク足が、26日間の高値・安値の平均値である基準線を抜けることは中期的なトレンドが変わりつつあると判断できます。
また、この時に転換線と基準線両方を勢いよく抜けると抜けた方向への強い売買シグナルとなります。
ほとんど同時のタイミングに転換線も基準線を抜いていくゴールデンクロス・デッドクロスも見られることがあり、根拠を強める材料になります。
特に中長期にかけて作られていたトレンドとは逆にこのシグナルが出た場合では、トレンドが終盤を迎えている可能性があるために、売買シグナルと反対方向の取引はリスクが高いと言えます。
そのため、次に出るトレンドに乗った取引を行った方が良いでしょう。
【一目均衡表の見方・使い方】先行スパンが作り出す雲の使い方
先行スパンが作り出す雲は、抵抗線と支持線を視覚的に捉えやすく、注目されている価格帯をシンプルに発見できます。
雲がローソク足よりも下にある場合には下雲と呼ばれ支持線に、上にある場合には上雲と呼ばれ、抵抗線になります。
基本的な使い方でも述べましたが、雲の厚さが厚いと抵抗が強く、薄いと抵抗が弱くなります。
雲は向きにも意味があり、上向きだと上昇トレンド、下向きだと下降トレンドを表しています。
また、雲は先行スパンが作りだすものであり、未来の雲までチャートに表示されています。
この雲を見て、近い未来の雲は上雲か下雲か判断して取引に役立てることができます。
雲から読み取ることのできる相場状況は以下の通りになります。
雲の位置 | 雲の向き | |
---|---|---|
上昇トレンド | 下雲 | 上向き |
下降トレンド | 上雲 | 下向き |
もち合い | ローソク足に水平 |
一目均衡表で取引を行う際の注意点と設定
一目均衡表の基本知識と使い方だけでなく、注意点や設定について理解すると、取引しないほうが良い相場が判断しやすくなり、ダマシによる損失の回避が可能になります。
注意点を知らずに取引を行うと、大きな損失を被る可能性のあるリスクの高い資産運用になってしまうかもしれません。
そうならないためにも、どこに注意して売買を行えば良いのか?解説していきます。
【一目均衡表で取引を行う際の注意点】雲のねじれ(変化日)に注意する
一目均衡表には、ねじれ(変化日)と呼ばれる雲がねじれている部分があり、上雲と下雲が変化するときに現れます。
ねじれが起きるときは段々と雲が薄くなり、雲の位置が変化して予期できないような急な値動きが生じることがあるので注意が必要です。
「大きく動くなら上手く取引を行えば一気に稼ぐチャンスだ!」と思いがちですが、雲は厚い部分よりも薄い部分の方が株価が抜けやすい性質があるため、どちらか読めないようなもち合い相場から急なトレンドが発生してしまう可能性が高くなります。
そのため、変化日付近での取引は避けるべきだと言えます。
また、ねじれが起きているときに雲から大きく離れた場所に現在価格であるローソク足が位置している場合には、大きく雲を突き抜けて反転するという状況は考えにくく、急騰・急落のリスクが低いため、影響は少ないと判断できるでしょう。
【一目均衡表で取引を行う際の注意点】ダマシが起きやすい状況
もち合い相場が長期にわたって続くと、一目均衡表が機能しにくく、ダマシの起きやすい状況になることがあります。
もち合い相場では、上雲と下雲が頻繁に入れ替わり、基準線や転換線も明確に上抜け(下抜け)したと判断しづらい状況になってしまいます。
このように、売買シグナルの根拠が弱い状況では無理にエントリーしようとせずに、取引を見送ることも考えるべきです。
また、他のテクニカル分析と組み合わせて違う角度から相場を見ることで精度を向上させ、取引を行うのも手段の1つになります。
すべてのテクニカル分析にも言えることですが、指標の種類によって機能しにくくなってしまう場面が必ず存在します。
貴重な資産を守るためにも、1つのテクニカル分析だけに依存した取引は避けるべきであると言えます。
そのため、一目均衡表に限らずテクニカル分析を使用して取引を行う際には、なんとなく上がりそうといった勘では無く、売買シグナルを確認して根拠を見つけてからエントリーできるようにしておきましょう!
【一目均衡表で取引を行う際の注意点と設定】おすすめの設定値とは?
一般的なテクニカル分析では、設定期間を個人の好きな数値に設定でき、一目均衡表も例に漏れず設定期間を自由な数値に決めることが出来ます。
せっかくテクニカル分析を使用して取引を行うのであれば、最も効果を発揮する設定期間にしたいと思うのは当然のことです。
では、ベストな設定期間の数値は一体いくつなのでしょうか?
実は、誰にでも機能する設定期間の数値は存在せず、ベストな設定期間は個人が使用していく中で決まっていくものになります。
トレードスタイルや見る時間足によっても変化するため、一概にこの数値ということは言えません。
トレードスタイル | トレード期間(保有期間) |
---|---|
デイトレード | 数秒~1日 |
スイングトレード | 数日~数週間 |
ポジショントレード | 数週間~数年 |
しかし、現状のベストな設定期間であるといえる数値が存在することは事実であり、投資家の間でも人気のある設定数値のパターンもいくつか存在しています。
具体的な設定期間の数値に関しては一目均衡表の設定方法と注目の設定期間を分かりやすく解説に根拠と共に詳しくまとめてあるので参考にしてみて下さい。
一目均衡表の見方・使い方まとめ
一目均衡表の使い方・見方をご紹介してきましたが、実際に取引する際の使い方や注意点を理解して頂けたでしょうか?
一目均衡表は、異なる計算方法で作られた5本の線から相場のトレンド転換の時期を読み取り、売買タイミングを判断できます。
一目均衡表の5本の線と雲に注目して現在のトレンド方向を確認し、これから相場がどうなるのか?売買シグナルをもとに取引の判断を行いやすくなります。
このように一目均衡表は、相場状況の判断に長けているテクニカル分析として多くの投資家に愛用されています。
多くの投資家に使用されているテクニカル分析を見ることは、相場のどこに注目が集まっているのか?理解することに繋がるのです。
投資家心理を理解して根拠を持った、より良い投資を行っていけるよう、一目均衡表の使い方はしっかりと抑えておきましょう!
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ラジオNIKKEIの番組「株教室」などでお馴染みの「高山緑星」が代表を務める投資助言サービス。今なら実力証明のための銘柄『次なる大化け候補株』を無料で配信中!!
投稿者プロフィール
- 株取引を成功へと導く重要な指標「テクニカル分析」と「株価チャート」。【テクニカル分析のカタチ】では、ローソク足やチャートの見方、移動平均線やトレンドライン、ボリンジャーバンドや一目均衡表の使い方など。テクニカル重視の幅広いトレーダーに役立つ情報をご紹介します。