ゴールデンクロスとデッドクロスとは?

移動平均線

ゴールデンクロス」、「デッドクロス」は株式投資を行っている誰もが知っている有名なチャートパターンかと思いますが、移動平均線が作り出す、売買タイミングを示してくれるチャートパターンの1つです。

ゴールデンクロス・デッドクロスの出現は、上昇(下降)トレンドの発生を示唆するとされています。

しかし、単純に現れれば必ずトレンドが発生するというものではありません。

どうして売買サインとして機能するのか?

どのような状況で出現すれば可能性が高いと言えるのか?

当ページではゴールデンクロス・デッドクロスの基本的な意味から実践的な使い方までを詳しくご紹介してみたいと思いますので、株初心者の方やゴールデンクロス・デッドクロスについて改めて理解したいと思われる方は、是非ご参照下さい。

ゴールデンクロス・デッドクロスとは?移動平均線から読み取る売買シグナル

ゴールデンクロス・デッドクロスとは、一体どういう状況で出現して、どのような意味を持つのでしょうか?

ゴールデンクロス・デッドクロスとは、移動平均線を使った売買シグナルの1つで、上昇(下降)トレンドが発生するタイミングを計る目安として使用されています。

ここでは作られ方や意味など、基本的な部分からご紹介します。

なお、ゴールデンクロス・デッドクロスを理解するには、まず移動平均線とは何かを理解しておかなければなりません。

株価チャート中の移動平均線の画像(5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線)

まず、移動平均線とは、期間により短期・中期・長期と分けられますが、多くの投資家が使っているテクニカル分析の1つで、一定期間の価格の平均を結んだものです。

移動平均線はローソク足と一緒に使うことで、トレンドを知りたいときや、売買のタイミングを計るときに役立ちます。

また、移動平均線のように有名なテクニカル分析を理解することは、参考にしている多くの投資家の心理を理解することに繋がります。

例えば25日移動平均線では過去25日間の平均価格となります。

平均価格を使うことで、惑わされずに現在のトレンドがどこを向いているかを見ることが出来ます。

簡単に移動平均線について説明しましたが、より詳しく移動平均線について知りたい方は「移動平均線とは?チャートの見方や設定ごとの使い方」にまとめてあるので参考にしてみて下さい。

ゴールデンクロスとは?

株価チャート中の移動平均線によるゴールデンクロス・デッドクロスの画像

※シーズHD【4924】株価チャート画像、水色:5日移動平均線、赤色:25日移動平均線、緑色:75日移動平均線

ゴールデンクロスとは、上昇相場への転換を表す売買シグナルで、短期の移動平均線が中長期の移動平均線を上抜けることを呼びます。

ゴールデンクロスが出現した後は上昇相場へと変わりやすく、トレンド転換の目安として使われています。

相場の流れの中で株価の下落が止まり、上昇し始めると、短期移動平均線から上向きに転じ、株価の上昇が続くにつれて中長期移動平均線が上昇していきます。

この過程で短期移動平均線中期移動平均線長期移動平均線を上抜けるというイメージです。

デッドクロスとは?

逆に、デッドクロスとは、下降相場への転換を表す売買シグナルで、短期の移動平均線が中長期の移動平均線を下抜けることを呼びます。

デッドクロスが出現した後は下降相場へと変わりやすく、ゴールデンクロスとは逆のトレンド転換の目安として使われています。

株価の上昇が止まり、下落し始めると、移動平均線は短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線の順に下がり始めます。

この過程で短期移動平均線が中長期移動平均線を下抜けることを指します。

売買サインとなる根拠をゴールデンクロス・デッドクロスの仕組みから読み解く

ゴールデンクロスの仕組みのメイン画像

ゴールデンクロス・デッドクロスは、単純に上抜け(下抜け)れば売買サインとして成立するわけではなく、抜けた時の移動平均線の状態にポイントがあります。

ゴールデンクロス・デッドクロスの意味が理解できたところで、「どうして売買サインとして活躍できているのか」の根拠を読み解きながら仕組みを解説して行きます。

ゴールデンクロスやデッドクロスがなぜ売買サインになるのか?

先ほど、ゴールデンクロス・デッドクロスが出現した場合、トレンドの発生する可能性があると述べましたが、なぜこの2つは売買サインとして機能するのでしょうか?

短期移動平均線が上昇(下降)するということは、実際の株価が上昇(下落)しているということです。

短期移動平均線は、中長期移動平均線と比べて短い期間の終値を拾ってきて平均値を出しているため、株価の変動が表れやすくなっています。

つまり、現在の株価が変動すると短期移動平均線に大きく影響を及ぼすことに繋がります。

そのため、トレンドが変化の初動に入ってきていると判断でき、売買サインとして機能することになります。

ゴールデンクロス・デッドクロスの成立と不成立

単純に、短期移動平均線が中長期移動平均線を上抜け(下抜け)ればゴールデンクロス・デッドクロスとして成立するのか?と言えばそうではありません。

抜けたときの傾きによって、意味のあるゴールデンクロス・デッドクロスか判断する参考になります

株価チャート中のゴールデンクロス不成立の画像

※ユアテック【1934】株価チャート、水色:5日移動平均線、赤色:25日移動平均線、緑色:75日移動平均線

上記画像の丸で囲った部分のように傾きが弱いまま抜けている場合は、短期移動平均線の勢いも弱く、中長期移動平均線も弱いために根拠のあるゴールデンクロスではない、という判断になります。

もしも、上記のタイミングで買った場合、上ヒゲが見られるので含み損の状態が続き、損切しやすくなってしまいます。

短期移動平均線に勢いがあるからこそ、現在の株価も上昇(下落)してきてトレンドが変わり始めている、という根拠になります。

そのため、意味を持ったゴールデンクロス・デッドクロスが成立するには、単純に抜ければ良いというわけではなく、勢いのある短期移動平均線が必要ということです。

ゴールデンクロス・デッドクロスの実践的な使い方と「ダマシ」の注意点

ゴールデンクロス・デッドクロスの使い方と注意点のメイン画像

ゴールデンクロス・デッドクロスが出現した場合でも、トレンドが発生しない「ダマシ」と呼ばれるケースが存在します

ここからはゴールデンクロス・デッドクロスを使ってどのように取引するのか、注意点と共に実際に起こり得る状況と判断基準を見ていきましょう。

ゴールデンクロス・デッドクロス出現によるエントリーとイグジット

株価チャート中のゴールデンクロス・デッドクロスのエントリー・イグジットポイントの画像

ゴールデンクロス・デッドクロス出現によるエントリーポイント・イグジットポイントとしては上記画像の箇所になります。

ゴールデンクロス・デッドクロスは、出現したことを確認してからエントリーするのが一般的です。

単純にゴールデンクロス、デッドクロスのみを確認するだけでなく、ローソク足との位置関係にも注目する必要性もあります。

エントリーとイグジットとは?

エントリーとは、狙いを付けた銘柄の取引に参加すること。

株式投資の場合は、銘柄を購入したり、信用取引で売るような取引の始めのことを表す。

イグジットとは、エントリーを行った後に、銘柄の取引を決済することを表す。

銘柄を購入(売却)した場合に、売却(購入)して取引を終了させること。

ローソク足が移動平均線よりも上にある状態は、上昇トレンドを表しているため、その時にゴールデンクロスすることがエントリー条件になります。

デッドクロスの場合は反対にローソク足が移動平均線の下にある状態である時がエントリー条件になります。

エントリーしたら必ず決済しなければならないため、イグジットを決める必要があります。

ゴールデンクロスでエントリーした場合は、ローソク足の終値が中長期移動平均線を割った時になります。

ローソク足が中長期移動平均線を割るということは、現在の価格が勢い良く下落しているという証拠になり、上昇トレンドが終了するかもしれないと判断するためです。

反対にデッドクロスでエントリーした場合は、ローソク足の終値が中長期移動平均線を上に突き抜けた時になります。

現在の価格が勢いを持って上昇しているということは、下降トレンドの終了を暗示させるためです。

エントリーとイグジットに関しては様々な考え方が存在するため、参考程度に受け取って下さい。

ダマシの注意点と相場の状況

ゴールデンクロス・デッドクロスに限ったことではありませんが、テクニカル分析には「ダマシ」と呼ばれるものが存在します。

ダマシについてどんなパターンがあるのか?

また、ダマシを回避するにはどうすれば良いのでしょうか?

ダマシとは?

ダマシとは、テクニカル分析で買いシグナルや売りシグナルが出ているのにその通りに株価の上昇・下落が行われないことを指します。

騙された投資家は損失を出す可能性もあり、このダマシの発生を100%避けることはできません。

ゴールデンクロスが出現後にシグナルと逆方法に反転してしまっている画像

上記画像は、赤い丸の部分でゴールデンクロスが出たのにも関わらず、すぐに反転してしまっているパターンです。

シグナルは100%の結果を保証するわけではなく、あくまで可能性を表わすもののため、思っていた方向と反対に動いてしまったら損切を行うべきです。

また、ゴールデンクロスのみで判断するのではなく、大きな時間足の向きを見てトレンドはどっちを向いているのか確認することで、根拠が少なく勝率の低いエントリーを減らすことに繋がります。

デッドクロスが出現後に一旦シグナルと逆方向に動いてからシグナルの方向へトレンドが発生した画像

上記画像は、赤い丸の部分でデッドクロスが出たのにも関わらず、一度上昇をしてから下降しているパターンです。

基本的にチャートは、上昇と下落を繰り返しながらトレンドの方向に動いていきます。

急騰した場合は、「戻し」と呼ばれる一旦反対方向に向かう動きがあり、そこを狙った戻り売り、という方法もあります。

ここではトレンドが出てからも、戻り売りを狙って少し様子を見てからエントリーする、もしくは少しくらい戻しても大きな損失を出さないために、取引する量を調節するといった対策方法があります。

ゴールデンクロスとデッドクロスはどの足で判断するべきか?

ゴールデンクロスとデッドクロスを実際に使う時には、どの時間足を見れば良いのでしょうか?

時間足によってゴールデンクロス・デッドクロスが出現していたり、していなかったりすることがありますが、基本的にすべての時間足で同様にシグナルが出現することは殆どありません。

チャートは上昇と下降を繰り返してトレンドを作っていくため、小さい時間足の中のトレンドは大きい時間足の一部という意味になります。

つまり、大きい足のトレンド中に小さい足のゴールデンクロス・デッドクロスが出現しているということになります。

どの時間足が最適かはトレードスタイルや移動平均線の設定日数にも左右されるので、大きな足だけに囚われ過ぎても含み損を抱えることがあります。

そのため、すべてのテクニカル分析に共通することですが、「相場を見ていく中で結果を出せている」、「自分に合っているもの」を見つけていくことが大切になるでしょう。

移動平均線の癖を理解する

移動平均線は、一定の期間の終値を繋げて線にしているため、実際に価格が変動した場合ゴールデンクロス・デッドクロスを形成するまでに時間差が生じます。

つまり、ゴールデンクロス・デッドクロスが形成されたときには既にトレンドが始まっている場合がほとんどです。

株価チャート中のデッドクロスが完成時にはトレンドが開始している画像

基本的に多くのテクニカル分析は、過去の価格をもとに相場を予測するため、現在の価格と時間差が生じてしまうことは避けられないことです。

相場の格言に「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉があり、株式投資における頭と尻尾とは最高値と最安値のことを表しています。

誰もが最高値(安値)で売りたい(買いたい)と思うものですが、なかなか上手くは行かないものです。

もっと利益を伸ばすため、特に根拠も無いのに持ち続けてみたり、安くなってから買おうとしたら高騰してしまったりすることがあります。

そんなことをしていると利益を得るチャンスを失ってしまうことになり、結果的に損失を出してしまったり、思うように利益を伸ばすことができません。

つまり、トレンドの開始から終了まで完璧に取引する必要は無いということです。

他のテクニカル分析も同じ方向を示していたりと、エントリー時の根拠がしっかりしたものであれば、時間差があっても継続している強いトレンドを掴めるようになり、取引の精度は高くなるでしょう。

「ゴールデンクロスとデッドクロスとは」まとめ

ゴールデンクロス、デッドクロスの意味や仕組み、使い方まで説明してきました。

売買タイミング、トレンドの発生を読み取る判断基準として使われている根拠を理解して頂けたでしょうか?

ゴールデンクロス・デッドクロスが現れると上昇(下降)トレンドの発生を示唆するとされています。

しかし、単純に現れれば必ずトレンドが発生するというものでは無く、ローソク足との位置関係や傾き、移動平均線の癖などを考慮してエントリーとイグジットを決めなければなりません。

有名なチャートパターンであるゴールデンクロス・デッドクロスを上手く使いこなせるように基本的な知識はしっかりと抑えておきましょう!

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