出来高ランキングとは、銘柄を1日の出来高が多い順に並べた、株式投資を行う上で役立つランキング指標の1つです。
出来高ランキングの使い方がわかると、「株価が大きく変動する可能性の高い銘柄」を見つけやすくなります。
「この銘柄にどれくらい勢いがあるのか?」、「トレンドの初動に入っているのか?」など、出来高ランキングによって分かることは様々です。
このように出来高ランキングを知ることは貴重な資金を投資する銘柄の選定に役立ちます。
では、出来高ランキングは、一体どのように使うのでしょうか?
使い方を理解するためには、出来高の増加具合を見て考えること、出来高だけでなく流動性について理解する必要があります。
今回は出来高ランキングの使い方を具体例、注意点と共にご紹介していきます!
この記事で分かる!テクニカル分析のこと
出来高ランキングとは?出来高の大きい銘柄を教えてくれる!
出来高ランキングとは、「取引が成立した株数の多さによって銘柄を順位付けした指標のこと」です。
このランキングには、一体どんな情報が記載されていて、どのようなことが見て分かるのでしょうか?
出来高の意味を理解していても、“実際に取引する銘柄をどうやって見つけるのか”を知らなければ、約3500株もある銘柄を1つずつ見なければなりません。
そんなことをしていたら、とても大変で調べるのに時間がかかり取引どころではないですよね。
このページでは、トレンドが発生するかもしれない銘柄を、簡単に見つける手助けをしてくれるツールである「出来高ランキング」の見方・使い方を紹介していきます。
なお、出来高ランキングを理解するには、まず「出来高について」を理解しておかなければなりません。
出来高については「出来高とは?注目されている銘柄がわかる!」に詳しくまとめてあるので出来高についてまず理解したいと思われる方はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
出来高の増加・減少が一目で分かる!ランキング指標
出来高ランキングには、その日の出来高が大きい順に銘柄が表示されています。
出来高が大きいということは、その銘柄がたくさん売買をされたということになり、投資家の注目が集まっている銘柄であると言えます。
投資家の注目が集まる銘柄は、何かしらの材料(ニュースや決算など)により上昇・下落する可能性が高い銘柄です。
出来高の増加に伴う上昇・下落は、材料が根拠となり、明確なトレンドを作り上げることに繋がります。
つまり、出来高ランキングは「その日に注目が集まっている銘柄を教えてくれるランキング」ということです。
出来高ランキングを使った銘柄選定の方法
ここからは出来高ランキングを使った銘柄の選定方法を見ていきましょう。
一見すると、無機質なグラフである出来高がランキングになったということは、その日の上位出来高を一目で把握できることを意味します。
出来高ランキング上位の銘柄を更にふるいにかけて、トレンドが発生する可能性の高い銘柄を見極めます。
では、どのような判断基準をもとに見極めていくのでしょうか?
ここでは誰でも無料で見ることのできるYahoo!ファイナンスの出来高ランキングを使用して解説していきたいと思います。
出来高ランキングを実際に読み解く
「Yahoo! JAPAN」のコンテンツ「Yahoo!ファイナンス」のトップ画面にいくと、ページ中ほどにある「株式ランキング」に「値上がり率」「値下がり率」「出来高」「銘柄投稿数」が並んでいるのを確認できるかと思いますが、出来高ランキングはこの「出来高」の箇所にある「もっと見る」をクリックすると表示されます。
この出来高ランキングは、上から順にその日の出来高が大きい銘柄が表示されていて、「全市場」の出来高ランキングだけでなく、「東証1部」「東証2部」「東証マザーズ」「JASDAQスタンダード」など市場を絞って出来高ランキングを見ることができ、期間を「デイリー」ではなく「週次」や「月次」に変えて見ることもできます。
それでは試しに、この日1位の「不二サッシ(5930)」を見てみましょう。
銘柄コードをクリックすると不二サッシの銘柄情報が表示され、ここでは「四本値(終値・始値・高値・安値)」や「出来高」、株価などの情報を見ることができます。
この時点ではまだ、「出来高がその日の上位にあった銘柄」という情報しか分かっていません。
下にスクロールしてもらうと「テクニカル分析用多機能チャート」というリンクがあるのでクリックすると…
見やすいチャート分析画面に飛ぶことができます。
この画面では、株価と出来高の動きに注目して見てください。
すると出来高と株価が急激に変動しているのが分かります。
この日以前の株価は大きな変動もなく、単調な動きを見せていて、出来高も突出して増加している部分はありません。
しかし、この日は今までとは違う出来高が出現し、その動きに伴い株価も急上昇しています。
ここで考えるべきことは、どうして出来高が急増したのだろうか?ということです。
出来高が著しく変動する要因は、大きく分けると下記の3つに分類されます。
ニュースと決算 | 企業、業種に関するニュースや決算の結果などは株価や出来高に大きく影響することがある。 |
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短期投資家の参入 | 出来高急増後に注目されている銘柄で短期売買を行う投資家。売買を繰り返すために出来高増える要因になる。 |
株式分割と初心者投資家の売買 | 株価が高値をつけると売買がされにくくなってしまうので、買いやすくするために株式が分割されることを指す。 株価が明らかに上昇する、と遅れて気づいた初心者たちも売買に参加し始めて出来高の増加要因になる。 |
なぜ出来高が急増したのかを考えることで、上昇した材料(根拠)を知ることができるのです。
出来高が著しく変動する要因として上記3つをご紹介しましたが、株取引を行っていると、特に目立った買い材料などが見当たらないのに出来高が急増し株価を上げている銘柄を見かけたりすることも多々あるかと思います。
出来高急増の背景として考えられる要因に関しては、「なぜ出来高急増?株価上昇の買い材料が分からない銘柄について」に詳しくまとめてあるので出来高急増の背景にある要因についてより理解したいと思われる方は、こちらの記事も併せて参考にしてみて下さい。
不二サッシの場合は、下記のような明るいニュースが背景にあり、出来高、株価ともに急騰したと考えることができます。
不二サッシ<5940>がストップ高まで買われ、年初来高値を更新した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はきょう、同社子会社の不二ライトメタルが産業技術総合研究所との共同研究で、医療機器向けにマグネシウム合金部材の成形技術を開発したと発表。これが材料視されているようだ。
実際に相場が上昇するか、下落するかはその時になってみなければ分かりません。
しかし、思い込みではなく客観的な材料(根拠)を見つけることは、相場の予想を行い、勝つ確率の上昇に繋がってきます。
そのため、なぜ出来高が急激な変化をしているか疑問を持って調査することは、株式投資で生き残っていくために必要なことになります。
出来高ランキングは比較して考えることが重要
先ほど説明した材料調査の段階に入る前に、出来高ランキングから銘柄を選定するときに判断基準とすることがあります。
それは、現在の出来高を直近の出来高と比べることです。
簡単なことですが、出来高が他の銘柄と比べてどうか?ということは重要ではありません。
その銘柄が以前の出来高と比べて突出して増加しているかが重要です。
出来高は、株価に先行して増加しやすいという性質があります。
出来高が増加し始めたということは、「トレンドの初動が始まっているかもしれない」と読み解くことができます。
「普段と比較して変わらない量だった出来高が最近増加している」ということは賢い投資家達が、徐々にその銘柄に対して注目し始めている可能性を表します。
賢い投資家が注目している銘柄にいち早く気づくことができれば、他の投資家よりも多くの利益を手にすることができます。
また、出来高急増の理由を調べる癖がつくと、ニュースを注意して聞いたり、何が市場を動かすのか理解を深めることに繋がります。
そのため、株式投資の能力が向上するのです。
以上のことから、出来高ランキングを使った投資としては以下の3点が重要になってきます。
- 出来高急増中の銘柄を見つけること
- 最近の出来高と比べてどうかを見ること
- トレンドの初動かどうかの確認すること
出来高ランキングの注意点!株価と流動性
ここまでは、出来高ランキングを実際に使用した銘柄選定の方法を解説してきました。
しかし、今まで述べたことをそのまま行っているだけでは、思わぬ失敗をしてしまう可能性があります。
ここでは出来高ランキングを使用する上での注意点を紹介していきます。
出来高ランキングで上位にランクインしていても、流動性が低い銘柄は基本的な値動きが少なく、資金力のある投資家の力で株価が動くことがあり、初心者が手を出すにはリスクの高い銘柄と言えます。
流動性とは?
株式投資における流動性とは、市場に出回っている株式の株の多さを表すもので、多くの株式数が出回っていれば流動性が高いと表現され、出回っている株式数が少ないと流動性が低いと表現されます。
流動性の高い銘柄はいつでも売り手、買い手が存在しているためにスムーズに取引を行うことができ、資金力のある投資家が大量に買っても株価が変動しにくいです。
反対に流動性が低いと買い手、売り手が不足しているために、注文が通りにくい状態になってしまいます。
流動性が低い株は、資金力のある投資家が大量に買うことで株価が大きく変動することがあります。
株価は基本的に、「巨大な売上と利益を上げる大企業の株が大きな時価総額を持ち、値動きは重い」、「売上も利益も小さな企業の株は時価総額も小さく値動きが軽い」という特徴があります。
大企業は発行株数が多いので、株価に急激な変動は起こりにくいです。
反対に中小企業の株は発行株数が少ないために、大企業に比べて急激な変動が起こりやすいです。
そのため、発行株数が多い銘柄は流動性が高くなる傾向にあり、発行株数の少ない銘柄は流動性が低くなる傾向があります。
出来高が他と比べて高い、というだけで株を仕込んでしまうと、実は流動性が低く利益が出にくくなってしまうことがあります。
また、流動性があるからといって突出した出来高も無いのに仕込むことも危険です。
つまり、流動性に注目して銘柄選定を行うことは、出来高だけが多く値動きの少ない銘柄を避けることになります。
出来高ランキング上位でも安すぎる株には注意!
出来高ランキングを毎日見ているとあることに気が付きます。
「この銘柄、いつも上位にいるなあ…」人気の銘柄だからよく取引されているのでしょうか?
出来高の意味をもう一度思い出してみると「取引された量を表す」という意味でした。
すると、このようなパターンが存在していると考えることができます。
例) 単元株数は100株とする。
A株 株価100円 買い注文100株と売り注文100株で出来高100株
B株 株価1000円 買い注文100株と売り注文100株で出来高100株
「株価に違いがあるのに出来高は変わらない」というパターンです。
A株を10万円分購入しようとしたら、買い注文1000株となり取引が成立すると出来高1000株、B株を10万円分購入しようとしたら買い注文100株となり取引が成立すると出来高100株となります。
なので株価が安い銘柄の方が、自然と出来高が増加しやすい傾向にあります。
このように、出来高は株価に関係なく、純粋に取引された量で決まります。
単元株数に関しては、以前は1000株のもありましたが、100株に統一されたのであまり深く考える必要はありません。
単元株数とは?
通常の株式投資で売買される売買単位のことです。
この数の整数倍の量でしか取引することはできません。
例)単元株数100株の場合は100株、200株、300株…といった株数でしか注文できません。
なお、2018年10月から単元株数は100株に統一されました。
出来高ランキング上位にいつもいる銘柄は、普段の出来高と比較してみるとなぜ上位にいるのか良く分かります。
普段から出来高が大きい銘柄は株価が安い、発行している株数が多いなど何らかの理由があります。
このような銘柄は、普段から出来高が多いために出来高ランキングの上位に入ってくることが多いです。
出来高ランキングは、市場全体で出来高の大きい銘柄を上位に表示するため、今までの出来高と比べることにより、より良い銘柄を取引きしやすくなります。
出来高ランキングについてまとめ
今回は出来高ランキングとは?出来高ランキングの具体的な使い方について紹介してきました。
出来高ランキングは、出来高の多い銘柄をランキングで表していて、注目されている銘柄を見つけやすくするテクニカル指標です。
ランキングを鵜呑みにするのではなく、「流動性はあるか?」「出来高の増加具合はどうか?」「株価は異常に安くないか?」を探ることでトレンドの発生する可能性を計ることができます。
出来高ランキングの結果だけにとらわれず、あくまで判断材料として受け取って下さい。
他の分析方法にも共通して言えることですが、最終的に他のテクニカル分析やファンダメンタルズ分析と組み合わせて使うことが必要になってきます。
そのため、幅広い分析方法を使用することは材料(根拠)を見つける手助けをしてくれます。
様々な視点から銘柄を分析し、より良い株式投資を行っていけるように理解を深めて経験を積んでいきましょう!
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- 株取引を成功へと導く重要な指標「テクニカル分析」と「株価チャート」。【テクニカル分析のカタチ】では、ローソク足やチャートの見方、移動平均線やトレンドライン、ボリンジャーバンドや一目均衡表の使い方など。テクニカル重視の幅広いトレーダーに役立つ情報をご紹介します。