酒田五法とローソク足パターンから値動きを予想する

株価チャート

ローソク足のパターン(組み合わせ)を分かをるようになるメリットは、「相場がそろそろ転換しそうか?それともトレンドは続いていくのか?」と取引を行ううえで、判断基準の精度を向上させることに繋がり、株式投資の基本である「安く買って高く売る」をしやすくなることです。

ローソク足の歴史は古く、江戸時代から存在していて、同じようにローソク足のパターンも江戸時代から使われていたとされています。

長い間使われ続けているということは、実際に役立つ便利な分析方法ということに他なりません。

今回は出羽国出身の相場師「本間宗久」より考案され江戸時代から使われ続けてきた「酒田五法(さかたごほう)」を中心に、代表的なローソク足のパターンをご紹介していきます!

ローソク足パターン(組み合わせ)の表す売買シグナルは相場の状況を読み取れる

ローソク足パターンのメイン画像

ローソク足は、形や組み合わせによって、1つずつに意味を持っています。

ローソク足のパターンを知っていると、相場の状況を把握しやすくなるというメリットがあるのです。

具体的には「もうすぐ相場は上昇トレンドに移行するかもしれない」「下落に転じるかもしれない」といった相場の変化を読み取ることができるようになります。

では、一体どのようにローソク足の形とパターンから相場の変化を読み取ることができるのでしょうか?

ローソク足の形とパターンは、市場参加者の「売り」「買い」の攻防を読み取ることができて、投資家心理を視覚的に表してくれると広く知られています。

その結果、多くの投資家が知っているパターン、形がでれば大半が同じ行動をすることになるのです。

いわゆる統計学的な感じですかね。

その行動が、結果としてローソク足のパターン、形の意味する通りに株価が変動することに繋がります。

また、ローソク足のパターンには様々な種類がありますが、すべてを丸暗記する必要はありません。

「このようなパターンがある」と知っているだけで取引を優位に進める手助けをしてくれることでしょう。

なお、ローソク足のパターンを理解するには、ローソク足の見方についてまず理解しておく必要があります。

ローソク足の見方に関してはローソク足とは?初心者必見!ローソク足の見方・読み方に詳しくまとめてあるのでそちらを参考にして下さい。

ローソク足の組み合わせから株価チャート上の投資家心理を読み取る

先ほど、ローソク足はパターンや形1つ1つに意味があり、その背景には投資家心理が表されているとお伝えしました。

市場参加者の多くは様々なローソク足パターンを、その裏にある投資家心理を踏まえて、売買の判断基準として見ています

具体的には例えば、トレンドが発生した場合、ずっとそのトレンドが続くわけではありません。

そこで、ローソク足パターンを知っているとトレンドが弱くなってきた、とトレンドが転換する時期が分かるようになります。

この背景には「利益確定」「損切」を行っている可能性が高いという投資家心理が見えてくるのです。

単純にこのローソク足のパターンがでたから、と売買するだけでなく、“このような投資家心理があるからこのパターンが形成されている”と考えられるようになることが重要です。

一体どのような投資家心理が隠れているのか?

それでは代表的なローソク足のパターンと共に見ていきましょう!

日本発のローソク足パターン「酒田五法」とは?

酒田五法」は江戸時代に本間宗久さんという方が作成したローソク足を利用した日本発のテクニカル分析のひとつです。

約400年前からあるなんて、歴史が深くて驚いてしまいますね。

酒田五法で分かることは投資家に注目されている価格帯、トレンドが上昇、下落になりやすいかです

酒田五法は本間宗久さんが「三山(さんざん)」・「三空(さんくう)」・「三川(さんせん)」・「三兵(さんぺい)」・「三法(さんぽう)」の5つを主に使っていたことから五法になっているそうです。

他にもたくさんのパターンがあるのですが、今回は厳選した主要なパターンのみを紹介します。

今でも使われ続けている酒田五法とは、一体どんな分析方法なのか?見ていきましょう!

酒田五法のローソク足パターン「三山・三尊・逆三尊」

三山・三尊・逆三尊の画像

酒田五法のローソク足パターンの一つ「三山」は、天井圏で上昇を3回試みているが失敗し、上昇トレンドが終了したかもしれないという意味です。

同時に、出来高も減少しているとより信憑性を増します。

タイミング良く買い材料が出て株価を上げる場合もあるかと思いますが、上昇を諦めて下落トレンドへ向かう可能性が高いので売りサインとなります。

三尊」は三山の中心が高くなった形です。

三山よりも強く、上昇トレンドの終了を意味します。

天井かな?とすぐに売るのではなく、しっかりと天井であることを確認する、つまりは下落しているのを確認してから売りに入るべきという大事な意味があります。

逆三尊」は、三尊とは逆に中心が低くなっていて、下落トレンドが終了したかもしれないという意味です。

これらの形は天井圏、底値圏を確認するときに非常に役立ちます。

天井圏でローソク足のパターンが「三山」となれば買いを控えることで、下落による損失リスクを減らせるということですね。

酒田五法のローソク足パターン「三空(踏み上げ・叩き込み)」

三空(踏み上げ・叩き込み)の画像

酒田五法のローソク足パターンの一つ「三空」は、「三空踏み上げ」と「三空叩き込み」の2種類があり、3回連続で窓ができることにより強く、勢いのあるトレンドを表します。

また、後に説明がありますが、窓は開けたら埋めるという習性を持っています。

そのため、転換のサインが出た場合は天井、または底値であると確認できるのです

買いポジションの損切を巻き込んで大きくなった売りは、売るものがなくなると上昇を始めます。

その逆で、買いポジションが大きくなっていくと利益確定売りが始まり、下落を始めることが多いです。

このことから、叩き込みの場合は上昇サイン、踏み上げの場合は下落サインと判断することができます。

相場格言に「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉がありますが、ローソク足のパターンなどを参考にし、欲を出さず利益となる実をしっかりと取っていくようにしたいですね。

酒田五法のローソク足パターン「三川(明けの明星・宵の明星)」

三川(明けの明星・宵の明星)の画像

酒田五法のローソク足パターンの一つ「三川」は、「明けの明星」と「宵の明星」の2種類に分けられます。

明けの明星は、長い陰線の後に寄引同時線、または小陽線が出現し次に陽線が現れるパターンです。

下落トレンド中に買いと売りが均衡した後に、窓を開けて勢い良く陽線が出ることにより、均衡は上昇へ傾いてきているので買いサイン、と考えられます

宵の明星は、長い陽線の後に寄引同時線、または小陰線が出現し、次に陰線が現れるパターンです。

上昇トレンド中に、買いと売りが均衡した後、陰線が出ることにより心理的に下落に傾いてきているので売りサイン、と考えることができます。

酒田五法のローソク足パターン「三兵(赤三兵・黒三兵)」

三兵(赤三兵・黒三兵)の画像

酒田五法のローソク足パターンの一つ「三兵」の中には「赤三兵」と「黒三兵」があり、陽線が3連続、または陰線が3連続で階段状に並んでいる状態です。

赤三兵は高値と安値が段々上昇していっているので買いサイン、黒三兵は段々下落していっているので売りサインになります

なぜ、並んでいるだけでトレンドが出現する事に繋がるのでしょうか?

実は、赤三兵は「流れに乗ろうとする新規の買い」、黒三兵では「耐えられなくなった損切の売り」を巻き込こんで上昇、下落をしているために勢いが強くなってきている、と判断できるからです。

酒田五法のローソク足パターン「三法(上げ三法・下げ三法)」

三法(三法上げ・三法下げ)の画像

酒田五法のローソク足パターンの一つ「三法」は、「上げ三法」と「下げ三法」があり、トレンドの初期段階によく見られます。

上げ三法は、大きな陽線の後にローソク足を3つはらんでから、もう1つ大きな陽線が出現することです。

大きな2本に挟まれているローソク足は、1つ目のローソク足を下回ってはいけないという条件があります。

下げ三法は逆に1つ目のローソク足を上回ってはいけません。

上げ三法は、上昇トレンドの継続を、下げ三法は下落トレンドの継続を表しています

一旦、トレンドが落ち着いてから逆方向へ行かなければ、トレンドは続いていくという意味です。

株式市場の有名で分かりやすいローソク足パターン!窓開け・窓埋めとは?

数あるローソク足パターンの中で、分かりやすいのが「窓」というパターンです。

窓埋め」という有名な習性を持っており、投資家なら知っておくべき分析です。

たまに株関連ニュースなどで「窓をあけて大きく上昇しました」という言葉を聞いたりすることがありますが、一体どんな意味があるのでしょうか?

具体的に窓がなぜできるのか、どう利用できるのかを説明していきます。

ローソク足パターンの窓埋めと窓開けの理論とは?

株価中の窓チャート画像(①下窓②上窓)

たまに、チャートにぽっかりと空間が出現することがあり、この空間を「窓」と言います。

窓の開く理由と特徴は以下の表にまとめてあるので参考にして下さい。

窓はなぜ開くのか?
下に窓が開いているとき
  1. 前日の安値よりも翌日の高値が安い時
  2. 株を売りたい人が増えた時
上に窓が開いているとき
  1. 前日の高値よりも翌日の安値が高い時
  2. 株を買いたい人が増えた時
窓が開いたときの特徴
  • 窓は埋まることが多い
  • 開いた方向に大きく動きやすい
  • 窓埋め後は逆方向にトレンドが発生しやすい

それでは、窓を埋めたら全力で逆方向に取引すれば良いのでしょうか?

もしそうならすごく簡単ですね。

しかし、窓が埋まったからといって必ず大きく動くわけではありません。

単に窓が埋まったから取引するというのはギャンブルトレードになってしまいます。

窓の埋まり始め、埋まって完全にトレンドがでてから後出しで取引をしたほうが、リスクは低くなります

トレンドが出る前に判断することは、プロのアナリストでも難しいことなので避けたほうが良いです。

窓は出現頻度も高く、使いやすいのでしっかりマスターしましょう!

たった2本でわかる株価チャートのローソク足パターン!はらみ線と包み線(包み足)

ローソク足は、たった2本でもパターンとして成り立つものがあります。

中でも、わかりやすく代表的な「はらみ線」と「包み線(包み足)」を紹介します。

このパターンもテクニカル分析において重要な役割を担うので、しっかりと覚えておきましょう!

ローソク足パターン「はらみ線」とは(陰の陽はらみ・陽の陰はらみ)

はらみ線(陰の陽はらみ、陽の陰はらみ)の画像

「はらみ線」とは、前の足の陽線、陰線が後の足のすべてを覆う長さで、前の足とは逆の大陰線・大陽線のパターンです。

前の足と比べて勢いが弱くなったことを意味していて、ポジションを決済し始めた投資家心理が伺えます。

はらみ線には「陰の陽はらみ」と「陽の陰はらみ」の2種類のパターンがあります。

陰の陽はらみは、売られるものがなくなった結果に起こる、上昇トレンドへの転換の可能性があります

下落トレンドが続いている中、安値圏で大陰線が現れた場合、買っていた投資家の損切が考えられます。

損に耐えられなくなり売った結果、大陰線ができたというイメージです。

陽の陰はらみは、陰線がでれば天井圏かもしれない、と続々と決済が増えるので下落トレンドの可能性があります

上昇トレンドが続く中、天井圏で大陽線の次に陰線が現れた場合、買っていた投資家の利益確定売りの開始と考えられます。

買っていたがそろそろ利益確定したいと売った結果、陰線ができるというイメージです。

ローソク足パターン「包み線」とは(陽線包み足・陰線包み足)

包み線(包み足)(陽線の包み線、陰線の包み線)の画像

「包み線(包み足)」は、前の足の陽線・陰線をすべて覆う長さで、前の足とは逆の大陰線・大陽線のパターンです。

前の足を大きく超える勢いが現れたことを意味しています。

投資家心理としてはポジションを増やし始め、トレンドができるかもしれない、という心理が大半です。

包み線(包み足)は、「陽線の包み線」と「陰線の包み線」の2種類のパターンがあります。

陽線の包み線(包み足)は、安値圏で陽線の包み線が出現すると上昇トレンドへの転換の可能性があります

下落トレンドが続き、心理的に「まだ下がるか?」、「もう底値か?」という思惑が大半です。

陰線の包み線(包み足)は、陽線の包み線の逆に天井圏で出現すると下落トレンドへの転換の可能性があります

上昇トレンドが綴き、心理的に「まだ上がるだろうか?」「天井が近いのか?」というような思惑が出て来ている証拠です。

酒田五法とローソク足パターンまとめ

酒田五法など代表的なローソク足のパターンを紹介してきましたが、参考になったでしょうか?

ローソク足のパターンは、株式投資の基本であり、他の投資家が今何を考えているのかを視覚的に表してくれる非常に重要なテクニカル分析です。

また、すべての分析に共通することですが、買いサイン、売りサインはあくまで可能性に過ぎません。

パターンも出現する場所によっては精度が落ちることもあります。

それを理解したうえで自分の得意なパターンを見つけ、他のテクニカル分析と組み合わせることで精度を上げる。

そこで初めて、根拠を持った取引を行うことができます。

運に頼った取引では利益を出し続けることは不可能です。

貴重な財産を守るためには、実際にローソク足を眺めて分析し続けることが大切です。

トレードの精度を上げるために必要な知識と経験を積み、より良い株式投資を行っていきましょう!

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